アジアTYAネットワークレポート

公演後のディスカッションは非常に有意義なものだった。
Suranya Poonyaphitak (タイ)

 沖縄のりっかりっか*フェスタに初めて参加した。最初に思い浮かべるのはフェスティバルの価値である。10年以上にわたり開催され、沖縄のコミュニティに抱かれていることに感銘を受けた。継続しているということだけでなく、市場からコミュニティセンター、自治体の建物や教会まで、街中のさまざまなところに広がった会場からも感じることができた。フェスティバルが継続するには、フェスティバルとコミュニティの献身的なコラボレーションが重要だと考えるが、まさにその結果なのであろうと思う。

 地理的なことに加えて、りっかりっか*フェスタが地元の要素を大切にし、シージャーダンスプロジェクトや『玉津の恋』など、沖縄の作品をプログラムに入れているのも嬉しかった。前者は土地の魂や歴史を若い世代に伝える作品で、後者は年配の市民に伝統的な作品のアダプテーションとして別の可能性を提供するものだった。どちらも素敵な作品だった。また、ここでもフェスティバルとコミュニティの絆を感じることができた。加えて、シージャーダンスプロジェクトは、生きている記録の重要さと、人間と人間のコミュニケーションが舞台上で起こる際の力強さとあたたかさを再認識させてくれた。

 今年のりっかりっか*フェスタに参加する前に、フェスティバルやイベントを成功させるための運営についてのセミナーに参加した。会場に関しては、りっかりっか*フェスタはほとんどのチェックポイントをクリアしている。行きやすいこと、オープンであること、コミュニティと強いつながりがあること、独自の歴史と伝統があり他の場所と違うこと。そういった意味でりっかりっか*フェスタはひとつのモデルとなるものである。

 もうひとつ、フェスティバルのとても素敵な記憶は、野外パフォーマンス『きりん』でたくさんの子ども連れの家族が一緒に楽しい時間を過ごしているのを見れたことである。近くで見るパペットの大きさに怖がって泣き喚いている子どもたちもいたが(これはまったく問題ないことである。子どもは怖い時には泣いて良いし、オープンなスペースでの公演だった)。こういった誰にでも開かれ、誰でも歓迎する無料のイベントを企画するのも、フェスティバルとしては素晴らしいモデルである。本当に良い空気感にあふれていた。無料のイベントはコストのかからないイベントであるということではないので、このようなイベントを行うためにはフェスティバルの努力が必要である。その努力に感謝したい。

 残念ながらアジアTYAネットワークミーティングのセッションの多くに参加できなかったが、さまざまな見方や期待、挑戦、チャンスについて近隣の国々の友人たちと、そしてアジア以外の仲間たちと共有できた公演後のディスカッションは非常に有意義なものだった。

 たくさんの公演やプログラムがある大きなフェスティバルだったため、見逃したものも多かったが、それでも目一杯参加することができた。大好きだったものも、まあまあだったものも、好きでなかったものもあった。しかし、確かなのはりっかりっか*フェスタを楽しめたということで、ぜひまた参加したいと思う。

Asian TYA Network
Suranya Poonyaphitak
タイ
BICT Fest
共同プロデューサー・コーディネーター