アジアTYAネットワークプログラムについて

アジアTYAネットワークプログラムは、東アジア、東南アジアにおけるTYA(Theatre for Young Audiences=児童青少年演劇)の現状をお互いに共有し、各地域の関係者とつながることでアジアにおけるTYAの発展と国や地域を越えた長期的な協力関係を構築していくことを目的としたプログラムです。一般社団法人エーシーオー沖縄(りっかりっか*フェスタ主催団体)が主催、国際交流基金アジアセンターが共催し、2016年から始まりました(2018年は国際交流基金アジアセンター助成)。

近年アジアの多くの地域で、TYAへの関心と認識が高まっています。児童青少年のための芸術活動を始める団体が増え、新たにTYAに特化したフェスティバルがいくつも立ち上がっています。

特に急速な経済発展を遂げているアジア地域では、次世代を担う子どもたちが厳しい社会の中でも感性や創造力を健やかに育んでいくために、TYAが重要な役割を果たしていくことが予想され、すでにそういった動きが見えつつあります。しかし、まだTYAという概念が社会に定着していない地域が多く、より質の高いTYAを広めていくためには各アーティストや団体それぞれの活動だけでなく、ネットワークを国内外に広げ、協力しながら、より広い視野を持って社会や地域の活動に取り組んでいく必要があります。また一方で、TYAが既に広く実践され、フェスティバルなどを通して世界各地のTYAに触れる機会の多い地域においては、「アジアのTYA」とは何か、というテーマが頻繁に討論されるようになっており、アジア地域との連携、創造交流への意識が高まっています。

2016年より、りっかりっか*フェスタでは「アジアTYAネットワークプログラム」として(2016年・2017年は国際交流基金アジアセンター共催、2018年は国際交流基金アジアセンター助成)、アジアの、特に東南アジアのTYA関係者とのネットワークづくりを進めています。毎年りっかりっか*フェスタに東南アジアからTYA関係者を招き、アジアのTYAの現状や課題について情報交換とネットワーキングを行っています。また、これまでシンガポール、クアラルンプール、カンボジア、ミャンマーへの調査訪問を行い、より多くのTYA関係者と出会い、アジアのTYAについて考えてきました。現在ネットワークの活動は、東南アジア各地へと広がっています。

アジアTYAネットワークプログラムは、アジアのTYA関係者とのネットワーキングやディスカッションを通して、アジアのすべての子どもたちに質の高い現代の舞台芸術を届けることを目指し、アジアにおけるTYAのさらなる発展と国や地域をこえた長期的な協力関係と創造交流のために取り組みを続けます。

りっかりっか*フェスタについて

エーシーオー沖縄が主催するりっかりっか*フェスタ(国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ)は、毎年夏に沖縄で開催されているフェスティバルです。1994年に沖縄県中部広域圏で開催されたフェスティバルが始まりで、その後2005年から2013年は”キジムナーフェスタ”の愛称で沖縄市にて開催され、その厳選された質の高いプログラムで世界から注目されるフェスティバルとなりました。2012年にはアシテジ(ASSITEJ/国際児童青少年演劇協会)による第1回アーティスティックギャザリングのホストに選ばれ、国際的なTYAフェスティバルとしての認識を確立させました。2014年に会場を那覇市に移し、2015年より新たな愛称”りっかりっか*フェスタ”として再スタートしました。”りっかりっか”は沖縄の言葉で「さぁ行きましょう」という意味です。フェスティバルでは毎年0歳から大人まで楽しめる質の高い作品を日本、アジア、世界から招聘し上演しています。国際共同制作のプロデュースにも力を入れており、これまで約20作品を創作しています。シンポジウムやセミナー、ワークショップなども企画されます。海外のプレゼンターや関係者の参加も多く、アジア、世界のTYAの重要なネットワーキング拠点となっています。

www.riccariccafesta.com

沖縄について

沖縄は地理的にも歴史的にも、日本以外のアジアの国々との関わりが非常に強く、芸術文化の面でも強いつながりがみられます。

那覇を中心に、日本の首都・東京までの距離を半径に円を描くと、東アジアの主要都市がほとんどその中に入ってきます。日本の北端・稚内までの距離を半径にしてみると、東南アジアの多くの国まで届きます。
東アジア、東南アジアのTYAネットワークを構築するのに、沖縄は理想的な拠点と言えます。