りっかりっか*フェスタ2016レポート

どの作品も、演者やディレクター、デザイナー、舞台係、技術スタッフ、マネージャー、プロデューサーなど、作品に携わる関係者たちの才能とプロ意識を感じさせるものでした。
Teta Tulay (フィリピン)

概要

ACO沖縄と国際交流基金の共催により、東南アジア諸国(カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム)諸国の演劇関係者が集まり、各国および各地域におけるTYAの現状と今後の可能性について話し合いました。

りっかりっかフェスタを中心としたアジアにおけるフェスティバル・ネットワークであるATYA(アジア児童青少年演劇フェスティバル・ネットワーク)は、アジア地域におけるTYAを促進し、 フェスティバル数の増加、子供を中心とした観客の開発、劇団によるフェスティバル参加や開催の促進、アジア地域の演劇関係者や支援者へのネットワークの拡大を図るためのプロジェクトを先導しています。

アジアTYAネットワーク

アジアTYAの今とこれから

オープントーク

728日 15:0018:00

那覇市緑化センター

TYAの現状、今後目指すべき目標、国境を超えた交流の可能性と課題

このイベントは、東南アジアにおけるTYAに関する情報収集を行うこと、文化的協力関係の基盤を築くこと、旧交を温めると同時に、新たな可能性に向けた出会いを実現すること、参加者間での社会文化的な理解を深めることを目的に実施されました。

この中で参加者たちは、各劇団の観客の特徴についての知見や、地域のフェスティバルおよび国際フェスティバルでの体験、各文化の特性が作品の形式に及ぼす影響、またTYA関係者が作品を発展させていくための基盤作りの可能性などについて、情報共有を行いました。

今後、アジア地域での実現が望まれるコラボレーションの基盤について、参加者から以下の提案がありました。

  • プロセスに焦点を当てた研修制度
  • より長い期間にわたるコラボレーション
  • 交換交流プログラム(ディレクターの交換交流など)
  • 結果ではなく、学びの過程に焦点を当てたワークショップ
  • 競争を軽減するための、国内劇団によるコラボレーション
  • 演劇やパフォーマンス作品の芸術的側面だけでなく、その他さまざまな側面について学ぶためのメンターシップ・プログラム

ATYAが各劇団の自国での活動をサポートするための取り組みについて、以下の提案がありました。

  • フェスティバル開催国で積極的に活動する(共催、共同出資など)
  • フェスティバルの運営方法について、経験の少ない主催者にアドバイスやガイドラインの提供を行う
  • フェスティバルでの観客動員や資金集めについて、助言を行う
  • フェスティバルに関連したセミナーや会議を開催する

この対話を通して興味深く感じたことのひとつは、アジア地域全体で、古くからの伝統的な演劇、パフォーマンス、芸術などをもつ国の劇団は、国家政策またはカルチャーセンターや審議会などの機関、公立演劇学校や芸術学校などを通して、地域伝統文化の保存と観光産業推進を目的とした政府からの支援を受けているところが多いのに対し、それ以外の劇団、特に非伝統的、あるいはコンテンポラリー、実験的とされる劇団は、政府からの援助をほとんど、または全く受けておらず、関係者や民間企業、国際組織などに頼って維持されているのが現状であるということでした。

アジアTYAネットワーク

アジアTYAネットワーキング

TYA活動についてのプレゼンテーション、個別ネットワーキング

729日 10:00-12:00

那覇市緑化センター

自己紹介、活動内容の紹介、忍耐の先にあるもの、今後の交流について

このイベントには、伝統的なものから非伝統的なもの、コンテンポラリー、実験的なものまで、非常に多種多様な演劇、パフォーマンス、芸術に携わる関係者が集いました。各劇団の代表者が、溢れんばかりの情熱と熱意をこめて、各自が行っている多種多様なTYA活動を約5分という短い時間につめこんで紹介してくれました。

私にとって最も印象深かったのは、困難な状況の中で忍耐力をもって活動にあたっている例、管理とキューレションのもとで子供達が作品を創る例、社会問題を主題とした作品を制作している例などでした。現在のアジアにおける社会経済的な状況の中でアーティストが活躍するのは、たしかに簡単なことではありません。しかし彼らは、それぞれが活動の場とするコミュニティーや、つながりのある広域なネットワークの助けを得て浮上することが可能であることを証明してくれました。

アジアTYAネットワーク

りっかりっかフェスタ2016 国際児童・青少年演劇フェスティバルおきなわ

子供のための演劇、子供による演劇

725 31

沖縄県那覇市

ぬちぐすいが育む精神と生命、演劇とはぬちぐすい

今年のフェスティバルでは、児童・青少年の観客およびその保護者の娯楽と教育を目的として、合計30作の演劇作品がプログラムに名を連ね、これに加えてワークショップや講演、プレゼンテーションが行われました。私は幸運にも、12作品を観劇することができました。どの作品も、演者やディレクター、デザイナー、舞台係、技術スタッフ、マネージャー、プロデューサーなど、作品に携わる関係者たちの才能とプロ意識を感じさせるものでした。その手法はどれも言語や文化の違いを超えるもので、作品の世界に身を委ねるわずかの時間、観客の年齢の違いは消え去りました。

観劇した作品は以下のとおりです。

『ア・マノ』エル・パティオ・テアトル(スペイン)

『かわいそうな象』人形劇団ひとみ座(日本)

『恋口説』ACO沖縄(日本)

『寿歌』劇団東京乾電池(日本)

『レオの小さなトランク』Y2Dプロダクションズ(ドイツ・カナダ)

『レ・ミゼラブル』ACO沖縄(日本)

『ノクス』ラヌー・テアトル(ベルギー)

『沖縄燦々』ACO沖縄(日本)

『ロウ〜小さな魂〜』キャビネットK(ベルギー)

『小さな紳士』ACO沖縄(多国籍劇団*りっか

『黄色いクツ下の夢』ダリア・アチン・テランダー(セルビア・スウェーデン)

『わかったさんのクッキー』(KAAT神奈川芸術劇場、日本)

アジアTYAネットワーク

演劇はコミュニティーに属するもの

Final Session

731日 10:00-12:00

那覇市緑化センター

再会を願って、お別れの時

Final sessionでは、最高の交流の時間を持つことができました。もっといろいろな体験談や会話を楽しみたくて、時間の流れが遅くなればいいのにと感じました。このような、仲間たちと思いを心から共有できる交流は、属するコミュニティーがどこであれ、私たちの活動をより強固なものにします。

Final sessionで耳にした言葉をいくつか記しておきたいと思います。ここに、私がこの集まりで過ごした1週間が凝縮されています。その言葉の素晴らしさに感動し、聞き入っていたために、誰の発言かを記すことができないことをお詫びいたします。

「演劇は、コミュニティーに属するもの」

「すべての芸術的表現は個人的なものとして始まり、その後徐々に、それぞれの環境の中で社会的意味を見出していく」

TYAの価値はいくら強調しても強調しすぎることはない。子供たちのための芸術は重要なもの。私たちは、子供達にすべてを与えなくてはいけない」

「子供たちの感性を形作るのは、与える側である大人たち。子供たちは、私たちに与えられたものを使って生きていくことになる」

Teta Tulay | Anino Shadowplay Collective

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