りっかりっか*フェスタ2017レポート

すでにある素材から作るもの、創作の過程でパフォーマーから素材を集めて作るものなど、さまざまなクリエーションのやり方を学んだ。
Dara Huot (カンボジア)

レポート
ダラ・ヒュオト
りっかりっか*フェスタ 沖縄 2017年7月 http://www.nuchigusui-fest.com/
アジアTYAネットワークプログラム http://tya-asia.com/en/home-en/

背景

  • カンボジアンリビングアーツ、ヒュー・ブラウンの紹介により。2016年のりっかりっか*フェスタでのアジアTYAネットワークにラタ・ヤが参加。http://tya-asia.com/en/home-en/
  • 2017年2月のTYA調査訪問をダラと池内がコーディネート
  • 2017年7月21日から30日にかけて、Phareを代表してダラがアジアTYAネットワークプログラムに参加。
  • 2017年のフェスティバルでは25作品の舞台公演とワークショップ、講座、トークなどが行われた。
  • チケット価格は大人が15ドル、子どもが10ドル。(※フェスティバルからのコメント:ほとんどの観客は5枚で5500円のセット券を購入している。1枚10ドル以下になる。)

目的

  • フェスティバルの公演から学び、ファーおよびカンボジアに持ち帰る
  • 今後のコラボレーションのために、TYAのネットワークを広げる
  • フェスティバルやネットワークメンバーにPhareの作品を紹介する

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主な収穫

  • パフォーミングアーツネットワークジャパンによるインタビュー(http://performingarts.jp/):舞台芸術と関係者について知るのには良いサイト。
  • 日本では、舞台芸術の会場は既存の劇場である必要はない。座席はベニヤ板やシンプルな素材を作って作成できる。
  • 主催者はそれぞれの公演に多くの観客を入れることを目的としていない。最大で40-50席くらい。
  • オーストラリアの演出家から、理想的な作品創作のスケジュールはディベロップメントとワークショップに3週間、クリエーションとリハーサルに2週間(プロデューサー、プレゼンターなどを招待)、4週間の休みを挟み、さらに4週間のクリエーションを経ての初演、という話があった。そして、セールス用の素材を作るのはさらに1年後で、ツアーが決まったらその前に1~2週間のリハーサルを行う。これは創作に20日間 x 3セッションを費やすPhareのやり方と似ている。カナダの劇団はときには新作の創作に休みも含めて3年かけることもあると言っていた。カナダでは、通常作品の寿命は4~5年、もしくはアーティストが飽きるまで。

 

  • この経験はPhareのチームと共有するだけではもったいないと感じ、帰国後カンボジアの芸術団体を対象にシェアリングセッションを行い、Phareのメンバーを含む約50名が参加した。( https://www.facebook.com/events/107663109928882/

 

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  • 私たちが主催する3ヶ月間のアーツマネジャーミーティングでも、児童青少年のための演劇をディスカッションのテーマとして採用した。
  • Phareのキャリアアッププログラムで参加したSokunからは、フライトと宿泊の50%をPhareが負担してくれたことに対する感謝が述べられた。彼女は今回初めて飛行機に乗り、カンボジアの外に出た。
  • 発展国では、若いうちから子ども達に芸術について学んで欲しいという希望がある。子どもを尊重し、成長を促している。
  • Phareのチームから、カンボジアの田舎の学校でもこういった活動が行われるようにしたいというコメントが出た。
  • デンマークでは子どもたちは1年に最低2作品は舞台を観る。
  • フェスティバルのチケットは子どもが15ドル、大人が20-30ドル。(※フェスティバルからのコメント:ほとんどの観客は5枚で5500円のセット券を購入している。1枚10ドル以下になる。)
  • 芸術は子どもの脳みそにとっての食べ物
  • 児童青少年のための舞台と大人のための舞台の擬似点と相違点を学んだ。
  • 劇場、場所、観客数のシンプルさに気がついた。質の高い芸術体験のために、客席にたくさんの観客は必要ない。
  • こういった国際的なプラットフォームに参加するときは、自分たちと、自分の団体、そして自分の国を代表しているという気持ちでいかなければならない。じゅうぶんに参加し、共有し、学び、カンボジア人であることのポジティブな面を示さなければならない。
  • すでにある素材から作るもの、創作の過程でパフォーマーから素材を集めて作るものなど、さまざまなクリエーションのやり方を学んだ。
  • Phareでは、毎年カンボジアで創作されるすべての作品をまとめた年次の出版物を作っていきたい。

チリの作品『アナのはじめての冒険』は、子どもの成長を描いている。子どもはおもちゃよりも、おもちゃの入った箱を楽しむ。

アーティストの意図は、大人たちに子どもと一緒にいて、一緒に時間を過ごし、遊ぶことはとてもシンプルなことであると感じてほしいということだった。子どもたちを子どもたちの世界にとどめておくのは簡単だが、大人がそこに共存して子どもたちと一緒にいることが重要。すべては視覚と音をつかってつくられ、すべてが観客の目の前で起こる。アーティストが別の国で公演するときは、いくつかその国の言葉を学び、作品の中で使うようにする。カンパニーは教師や俳優のためのボディコミュニケーションワークショップを行っている。

同じレシピを何度も使ってはならない。常に新しい世界にいきたい。1つの作品では1つの楽器しか使わない。他は人間の声や音を使う。

3人はつねにサウンドエンジニアとデザイナーとともにいて、その5人が創作プロセスにおいてつねに一緒に仕事をすることが重要。

チリにはたくさんの劇場やカンパニーがあるが、8年前は幼児を対象とした作品はなかった。同じ年に3つのカンパニーが幼児のための創作を始めた。サンディエゴの大きな劇場からはじめ、最初は赤ちゃんたちは後ろに座っていたが今は一番前に座らせる。子どもっぽい作品ではなく、本当に良い作品を作る。

2018年1月にアメリカで開催されるIPAY(http://ipayweb.org/)について紹介した。

彼らは18年前に大学で出会った俳優で、バンドシンガーであり、フィジカルアーティストであり、たくさんのことをやっていたが、このプロジェクト一筋に活動することにした。

帰国後、Phareのチームはパブリックシェアリングとアーツマネジャーミーティングでのプライベートセッションを行い、児童青少年のための舞台芸術とカンボジアの今後について話をした。

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第2回アーツマネジャーミーティング参加者:

Phare, Cambodian Living Arts, Bambu Stage, Battambang Theater Troupe, New Cambodian Artists

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Dara Huot
カンボジア
Phare Performing Social Enterprise (PPSE)
CEO
りっかりっか*フェスタ参加者